2024年11月2日土曜日

短歌  2024年9月

秋の夜にふたり交わした約束はぼくの中ではまだ有効です




細々と繋がっていた糸が切れ九月の空は生き急ぐ青




サヨナラを手に入れるため青白い星に来たんだ空を飛び越え




大切な夜もいずれは過去になる
スマホがどんどん重くなるんだ




星だって誰に見つけてもらえるか期待しながら光ってるんだ




感情の数だけ夜は深まってぼくもいつかはぼくじゃなくなる




足音が秋夜に溶けてしまうから月の行方はもう追えません




どこまでも続く線路を憎んでもきのうはきのう、あしたはあした




太陽の孤独が闇に溶けてゆくわたしひとりに余韻残して




あきらめが悪い俺たちだったけどオレンジ色の空が眩しい




週末が勝手にいなくならないか心配だから眠れないんだ




鍋底のような待合室にいて空の青から目を逸らしてる




かき分けて進んだ先に待っている感情の墓、白い沈黙