2024年11月2日土曜日

短歌  2024年6月

海のない日常にまだ慣れなくてどこで弱音を吐けばいいのか



くたびれた車窓からみる夕焼けのために一日窓のない部屋




肉体の境界線を消し去って誰も知らない宇宙になりたい




饒舌な日曜夜の雨音がきみの代わりにさよならという




この夜はぼくのことばを受け止めてくれるだろうか。鰐になろうか。




体内の六割ほどが水分でその他はすべて青いため息




知らなくて良いことばかり知らされて今にも雨が降りそうな雲




沈黙の扉をあける鍵はなくふたりの恋は7KB




すれ違うことも許されないふたり夏のしずくを五線譜に置く




結んでた星をほどいたぼくのこと七つ数えるうちに忘れて




快速が飛ばした駅で待っているぼくがこれから出会う灼熱