2024年11月2日土曜日

短歌  2024年5月

どれだけの過去を箱から取り出して並べてみても新しい朝




よく晴れた五月の朝は饒舌で白い記憶を置く場所がない




良いことも良くないこともいろいろと載せて電車は揺れるしかない




オーロラが見られたらしいあの町の紅い記憶で胸がくるしい




どの顔もあかく夕陽に染められてローソンだけが青白いまま




教室を抜け出したけど行くあてもない午後だからキスをしようよ




雲ひとつない青空は眩しくてきみのことばの陰に隠れる




曇るなら曇ればいいさ燻った詩ならコメダに置いてきたから




月曜が週に一度はやってくる嫌われものと自覚しながら




週末に培養されたもやもやが脚を生やして月曜を行く