2025年2月28日金曜日

短歌  2025年2月

気がつけば役割だけが増えてゆく自分の影を見ることもなく




混沌が世界をつくりだすように今日が産まれる瞬間の青




オリオンはきっと知ってる日曜が三倍速で逃げてゆく訳




すれ違うことも許されないのなら昼間の月に気づくのは罪




燃え尽きるあしたを直視できなくて冷え切った語尾踊らせていた




見られたくない闇なんて誰にでもあるしこうして朝もくるんだ




もうきみは忘れてしまっただろうけど
ひまわりはまだひまわりのまま




一面の雪に溶け込む月あかり夜が秘密を蓄えている




サヨナラがリフレインする寒空にきみを見送ることもできずに




今週をはじめる前にちっぽけな祈りを雲に委ねておくよ




おぼろげな夜明けを春というのならあなたを探す術すらもなく




仰け反ってみてもそこには春はなく舞い落ちてゆく恋があるだけ




プロレスの日にはプロレスラーらしく垂直落下式に出勤




たましいのもう半分を見つけ出す
生きる理由を敢えて言うなら
 



財布から二枚綴りの週末を出したところで雪が降るだけ




この冬を終わらせるのに必要な懺悔をしてもまだ許されず




セロニアス・モンクが横に居てくれてぼくはどろどろした夜になる




やがて来る季節に消されないように白い記憶を蓄えていた




氷柱にも寿命があると知らなくて悲しい恋を繰り返してた




いくつもの星を集めてきたけれどたったひとりの月に逢えない




どうしても上手くいかないこともあり
天気予報が口籠る朝




好き勝手生きてるように見えるけど季節はいつもすり抜けてゆく




何もかも滲んでしまう夜だからもう一度だけ名前呼ばせて