2024年11月2日土曜日

二の字  2024年4月

見上げても帰る丘がない
欲望は眩しくてさみしい
(2024年4月2日)



足元にご注意ください
諦めた昔話が蘇ります
(2024年4月4日)



それを希望と言うのなら
世界は半熟のままでいい
(2024年4月5日)



ぼくの窓は春に奪い取られたままで
ことばより大切なものが消えてゆく
(2024年4月6日)



地が固まらない雨も降るし
所詮は他人の島のおはなし
(2024年4月6日)



たいせつに育ててきた庭を
承認欲求が踏み潰しても花
(2024年4月7日)



記憶がこころを散らかすから
春の一歩を踏み出せずにいる
(2024年4月8日)



春めく街でどれだけの嘘を重ねても
マヨネーズかけてしまえば許される
(2024年4月8日)



貨物列車が線路を弾いて
ぼくの夜を奏ではじめた
(2024年4月10日)



戻ることのない部屋だから
鍵は月に預けておきました
(2024年4月13日)



とおい秘密を懐かしむように
二十三時のラジオを眠らせる
(2024年4月14日)



きみの真意はあの日の空に
いまも溶けないままですか
(2024年4月15日)



知らない窓を通り過ぎてゆく
焦げた魚ならぼくが食べるよ
(2024年4月16日)



月はなぜ見て見ぬふりをするのか
だから今もまだ諦められないんだ
(2024年4月21日)



ビル風に押される方に歩いていても
ドブネズミみたいに美しくなれない
(2024年4月24日)



星はみな孤独だと知っていて
それでもきみを探してしまう
(2024年4月26日)



だれかの願いで雲はつくられるから
どんよりとした朝は深く煎った珈琲
(2024年4月28日)