土曜の朝が
逃げないように
サンドウィッチの
斜面をすべり
思い出せない
予定を照らす
恍惚の火が
燻ったまま
晒すからだは
不器用だから
六月の声
無視するように
左足から
歩き始める
(2024年6月1日)
空の青さに
騙されたくて
夏のめまいを
揃えはじめる
意識がいつも
捜してるもの
その正体を
見極めたくて
街路樹の眼を
凝視していた
もう戻れない
助手席がまだ
青信号を
待っているなら
小さく揺れる
刃物のように
柔らかい手を
振りほどくよ
駅へと向かう
道の途中で
ぼくは正気を
ぶつけたくなる
(2024年6月19日)
朝の歩道に
恋のかけらが
散らばったまま
目を閉じている
誰かしらない
ひとの想いを
踏みつけるのは
忍びないから
ぼくは苦渋に
化けるしかない
(2024年6月26日)
土曜の夜は
不確かだから
みえない何かと
繋がりたくて
読みかけの本
ふと開いたら
手を伸ばしても
もう届かない
あなたの歌が
綴られている
あの日と同じ
雲の匂いを
漂わせつつ
(2024年6月29日)
雨が強まる
日曜の夜
ことばの隅に
染み付いている
肌の記憶を
洗い流して
くれないものか
それでもきっと
きれいになんて
なれないことは
わかってるから
重い夕空
広がる窓を
見てられなくて
声を殺して
歌を紡いだ
ぼくの歌には
棘がないから
喉越しだけが
喜ばれてる
それでもいいと
思ってたけど
たまにはぼくも
星をだれかと
共有したい
雨が強まる
日曜の夜
微笑むことに
飢えているんだ
(2024年6月30日)